ストーリー性のある坏土

ストーリー性のある坏土の検討

■企画参加者
プロデュース・製作:伊是名 淳
■課題と背景
近年、商品やその原材料に対して、品質や価格以外にその背景や社会性、イメージ、ストーリー性などの、いわゆる感性価値・付加価値を消費者から求められる場面が増加している。そのようなプラスアルファを加えることで、商品自体の魅力や付加価値を与える開発が重要になってくる。
■企画概要
沖縄の土を用いた坏土(はいど:焼き物の材料となる粘土)を開発する中で、品質の向上とは別に、沖縄ならではのストーリー性を込めることによって坏土やそれを用いた製品の価値・評価を引き上げることが可能か検討する。 

今回試作した坏土が持つストーリーは、下記のとおりである。

○沖縄の土を原料にしている
○壺屋で最古の共同井戸である、東ヌカー(あがりぬかー)の水を製土工程で使用
○首里城公園内にて熟成
これらのプロセスを踏むことで、沖縄の歴史や風土、精神性
(ストーリー性)を土に込めた。

東ヌカーは300年ほど前に壺屋で初めて掘られた井戸だと言われており、飲料水にも使われていた。現在は壺屋の大切な拝所として町に佇んでいる。

試作品は「盛り塩」をイメージしたオブジェ兼花器である。蓋をするとオブジェに、蓋を開けると花器として使用できる。「ストーリー性のある坏土」を使用した参考例として、この坏土を用い、形を作って作成した。

成果・課題
多くの陶器産地・生産者が新しい商品を次々と開発していく中で、沖縄という地域だからこそ付与できる独自の歴史や文化、素材や精神性などのストーリーは、沖縄の商品が競争していく上での有効な付加価値となり得る。  今後商品の用途やターゲットによって、どういった沖縄の付加価値をどのように提案していくのが適切なのか、検討していく必要がある。  また花器については石膏型を作成・使用して試作した。型を使用することで生産効率と形状の安定が見込まれたことも成果である。

伊是名 淳 VIVACE 代表取締役  陶芸作家 1970那覇市生まれ。1992年九州産業大学 芸術学部デザイン学科卒業。 1993年中学・高校美術教員(~2001 年) 2002年“活き活きとした暮らし”をコンセプトとしたカフェ・エステ・ショップ・陶芸 工房・クッキングスタジオからなる複合ビル VIVACE を設立。全プロデュースを手掛ける。 2003年デザインと機能性に優れたユニバーサルカップ(特許取得作品)を制作。 2009年ファッションブランド YOKANG の染色家・田仲 洋と Design Unit THAI を結成。染物と焼物を融合させた作品をデザイン・制作。 2010年豊見城中央病院付属健康管理センター全フロアのアート制作を THAI が手掛ける。 2012年東京(+case gallery)にて Design Unit THAI 個展を開催。LOOCHOO 展 in ロンドンに「BORN RYUKYU SERIES」を展示。 リーガロイヤルグラン沖縄の全ルームプレートおよびアート制作を手掛ける。